「コラーゲンサプリ肯定派vs否定派」の論争を分かりやすく解説します。
インターネットで「コラーゲン」を検索すると、「飲むコラーゲンは本当に肌に効くの!?」「コラーゲンは食べても塗っても無駄です!」「低分子コラーゲンなら効果あり」などなど、意見が異なる記事がたくさん出てきます。医師や研究者によっても意見が異なり、どの情報が正しいのか判断できない方も多いのではないでしょうか。今回の更新は、否定派・肯定派の意見を分かりやすくまとめてみたいと思います。
1. コラーゲンってなに?
色々なアンケートでコラーゲンの認知度が高いことは分かっていますが、まずはおさらいから始めましょう。コラーゲンとは、アミノ酸が数千~数十万結合したタンパク質の一種。弾力性があり、細胞と細胞を結ぶ働きを持っています。肌のハリを保ち(真皮の約70%がコラーゲン)、関節を滑らかにし、血管をしなやかにするのがコラーゲンの役割。体内のコラーゲン量が多ければ、若々しい肌を維持できるというわけです。しかし、年齢と共にコラーゲン量は減少し、またその質も低下していきます。簡単に言ってしまえば、質の高いコラーゲンをたくさん体内に蓄えていれば若々しい肌を保つことができるため、外部からの補充をみんなが求めているということです。
無駄な努力!?コラーゲンサプリメント否定派の意見
コラーゲンを経口摂取した場合、体内でアミノ酸に分解されます。タンパク質は分子が大きく、そのままでは吸収することができないためです。しかし、このアミノ酸が必ず皮膚のコラーゲンになるとは限りません。コラーゲンは現在30種類以上が確認されていて、骨にも血管にもなりえるのです。人間の身体は足りないものを補充しようとするため、身体の状況次第でどのコラーゲンになるのか分かりません。髪の毛を食べても髪の毛が生えてこないように、ホルモンを食べても臓器が再生しないように、コラーゲンを食べて(飲んで)も肌のコラーゲンが再生するわけではないのです。これが、代表的な否定派の意見です。
物理的に無理!?コラーゲン配合化粧品否定派の意見
コラーゲンは、クリームやローションなどの化粧品にも配合されています。しかし、肌に弾力を持たせてシワをなくすためには、皮膚の中に浸透させなければなりません。人間の皮膚の表面は網のような細かいメッシュ状に穴があいていますが、この穴にコラーゲンを浸透させることには無理があります。皮膚の中に浸透できる分子量は約500。それに対してコラーゲンの分子量は約30万。「ストローに自動車を入れるようなもの」と言う専門家もいます。ただし、皮膚の中に浸透できなくても、表面で保湿効果を与えることはできるようです。
2. コラーゲンサプリメントの有用性を解明した研究発表!?
まずは否定派の意見をご紹介しましたが、一方で「それでも効果を実感している!!」という人が多数います。そんな中、京都府立大学大学院の佐藤健司教授らの研究チームが経口摂取したコラーゲンが肌に働くメカニズムについて論文を発表しました。全てが解明されたとは言えないようですが、信憑性を裏付けるデータが少しずつ集まっているそうです。それでは、肯定派の意見をご紹介します。
皮膚再生への信号を送る!コラーゲンペプチド
経口摂取したコラーゲンの大半はアミノ酸に分解されるものの、一部はペプチド(アミノ酸が数個~10個程度結合したもの。この場合は、アミノ酸が2個結合したプロリルヒドロキシプロリンというコラーゲン特有のペプチド)として残り吸収されます。血中のコラーゲンペプチドは線維芽細胞(皮膚でコラーゲンやヒアルロン酸を産生する細胞)に信号を送り、そこで新たな皮膚コラーゲンが生み出されるのだとか。これまでの「アミノ酸=コラーゲンの材料」という考え方ではなく、「コラーゲンペプチド=信号を送って皮膚再生を刺激する」という考え方なのだそうです。この考え方なら、否定派の理屈とも競合しないのでは!?
考え方は同じ!?コラーゲンマシン
コラーゲンマシンは633nm領域の可視光線を照射することによって線維芽細胞を刺激し、体内のコラーゲン生成を促進する機械です。アプローチ方法は違うものの、線維芽細胞を刺激してコラーゲンやヒアルロン酸を増やすという手法はコラーゲンペプチドと同じ。意図的に線維芽細胞を刺激することから、より直接的な方法と言えるかもしれません。肯定派の方は、一度ご利用されてみてはいかがでしょう。
(まとめ)
人間がコラーゲンを利用してきた歴史は、紀元前3000年まで遡ります。樹液に動物の皮を浸けると腐食しにくく、やわらかくなるという発見が始まりでした。樹液のタンニンが皮に含まれるコラーゲンを安定させることを発見したのです。以来、薬として、接着剤として、食材として、様々な利用法が確立されました。コラーゲンが美容に深く関係するようになったのは1960年代。それまで水に溶けないとされていたコラーゲンを完全に溶かせる技術が発見され、化粧品や健康補助食品に使われるようになったのです。50年以上にわたって美容に深く関わってきたコラーゲンですが、現在でも解明されていないことがまだまだたくさんあります。日々研究が進められているコラーゲンに、今後もご注目していきましょう。