ご存知ですか?日焼けマシンとコラーゲンマシンの違い。
夏と言えば「小麦色の肌」。男性の皆さんは、精悍さやたくましさを目指して日焼けサロンに通う方も多いことでしょう。美への意識が高い方は、日焼けマシンとコラーゲンマシンを併用することもあるのだとか。しかし一方で、筐体(機械の外観)の類似性から混同している人もいるそうです。今回は、日焼けマシンとコラーゲンマシン、ふたつの機械の違いについてお話しします。
1.日焼けのメカニズムとは!?
日焼けマシンとコラーゲンマシンの話をする前に、まずは日焼けのメカニズムについてお話ししましょう。日焼けした肌には「健康の象徴」という印象がありますが、医学的には「日光皮膚炎」と言います。太陽光による火傷(やけど)であって、肌にとって健康的な状態だとは言えません。さて、肌を黒くする原因が、紫外線であることは皆さんご存知でしょう。皮膚が紫外線を浴びた時、まずは表皮の角質層が紫外線を反射して体内に入り込む量を少なくしようとします。それでも紫外線はくぐり抜けてくるため、表皮の中のメラノサイトという細胞からメラニン色素が作り出されます。メラニン色素の役割は、紫外線を吸収して真皮への侵入を防御すること。そして、そのメラニン色素が表皮の中に沈着することで肌の色が濃くなるのです。日焼けとは、肌が紫外線を防御した成果だと言えるでしょう。
日焼けマシンの仕組み
紫外線にはA波・B波・C波がありますが、日焼けマシンで使用されているのは主にA波。A波は紫外線の中では最も波長が長く、肌の奥まで届きます。皮膚の表面が真っ赤に焼けたり水ぶくれができるといった急激な変化が起きないため、比較的安全に肌を小麦色にできるというわけです。しかしA波も紫外線である限り、肌に影響を与えないわけではありません。例えば、真皮の中のコラーゲンを変性させてしまうこともA波の問題点。長い時間をかけ、気付かないうちにシワなどを作っていくのです。
紫外線と皮膚がん
日焼けをすることによって最も心配される悪影響は、皮膚がんです。紫外線を浴びて傷ついた遺伝子は修復されますが、多量の傷ができた遺伝子は傷が修復しきれなかったり、正しく修復されないことがあります。これが皮膚がんの大きな原因。そして、豪州ニューサウスウェールズ州がん評議会の調査では、「35歳までに日焼けマシンを使った人は、使わなかった人より皮膚がんの発症率が59%も高くなった」という結果が出たのだとか。また、カリフォルニア大学の研究チームも同様に、日焼けマシン使用者のがん罹患率が未使用者より高いと発表しています。
オーストラリアやブラジルでは日焼けサロンが禁止されている!?
皮膚がんへの懸念から、2015年1月からオーストラリアのほとんどの地域で、日焼けマシンの商業利用が禁止されることになりました。オーストラリアは皮膚がんの発症率が非常に高い国ですが、日焼けマシンの紫外線もその原因になっていると判断されたためです。実は日焼けサロンの利用を規制する国は数多くあり、アメリカの約30州、イギリス、フランス、ブラジル、スペイン、ポルトガル、ドイツ、オーストリア、ベルギーなどでも禁止または年齢制限が設けられています。そして、今後同様の規制をする国や地域は増えていくと言われています。
2.コラーゲンマシンにがんの危険はないのか!?
機械の中に入って光線を浴びるという点では類似する、日焼けマシンとコラーゲンマシン。「日焼けマシンに危険性があるのなら、コラーゲンマシンも同じでは!?」と考える方も多いことでしょう。結論から言うと、使用する光の領域が異なるため同様の危険はありません。ここでは、コラーゲンマシンについて詳しくお話ししていきます。
コラーゲンマシンの仕組み
コラーゲンマシンは可視光線を照射することによって線維芽細胞を刺激し、体内のコラーゲン生成を促進する機械です。線維芽細胞は、肌細胞とも呼ばれる細胞。コラーゲンやエラスチンの生成・分解を繰り返していますが、年齢を重ねると新陳代謝の低下によって分解が上回ります。20代後半から自己増殖能力が低下し30代で急降下、40代ではコラーゲンが新しく生成されることがほとんどなくなるため、外部からの刺激によって活性化させる必要があるのです。
可視光線と紫外線の違い
太陽光線は、波長の短いものからガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線で構成されています。波長が短いほど身体に化学的な影響が激しくなりますが、コラーゲンマシンで使用されるのは600nm~760nmの可視光線。10 nm~400nmの紫外線とは明確に領域が異なり、より刺激が少なく肌の奥に届くという仕組みです。また、線維芽細胞は熱によって活性化するため、コラーゲンマシンは赤外線に近いピンク色の光を使用しています(赤外線は熱的な作用を及ぼす光。人間の目では見えませんが、最も赤外線に近い可視光線の色は赤色です)。可視光線も紫外線もどちらも電磁波ですが、人体におよぼす影響は大きく異なるのです。
まとめ
今回は、日焼けマシンとコラーゲンマシン、似て非なるふたつの機械の仕組みをご紹介しました。ちなみに、コラーゲンマシンで日焼けをすることはありません。どうぞ用途を間違えずご利用ください。