歴史からジョークグッズまで、コラーゲンにまつわる雑学。


main-photo

ご存知でしょうか?1月26日はコラーゲンの日なんだそうです。株式会社ニッピ(当時は日本皮革株式会社)の研究員、西原富雄博士がそれまで水に溶けないと考えられていたコラーゲンの可溶化に成功し、特許を出願したのが1960年1月26日だったというのがその由来。この発見からコラーゲンは広い分野で応用されるようになっていったのだとか。……というわけで、記念日を祝って今回はコラーゲンにまつわる雑学的な情報をお届けします。

コラーゲンの歴史と近年の利用範囲。

現代では美容成分として注目されがちなコラーゲンですが、人類との付き合いははるか古代にまでさかのぼります。紀元前3000年頃の人類は、樹木の皮の汁に動物の皮を浸けると腐食しにくく柔らかくなることを知っていました。これは「皮をなめす」という加工方法。樹皮のタンニンが動物の皮のコラーゲンを安定させるという作用を利用したものでした。また、同じ時代には動物の皮や骨を煮詰めて作る「膠(にかわ)」が作られ、こちらは接着剤として利用されていたそうです。その後、中国で生薬としての利用が始まったり、膠液から墨が作られたり、近代には食材としても利用されるようになりました。そして現代では美容成分としてはもちろん、意外な工業分野で活躍していたりもするのです。

【ソーセージの皮にコラーゲン?】

ソーセージとは、牛・豚・羊などの腸にひき肉をつめて煮たりいぶしたりする食品です。ソーセージの皮の部分を食品業界ではケーシングと言いますが、ケーシングは天然・人工の2種類存在するのだとか。天然ケーシングとは動物の腸のこと、人工ケーシングとは可食性コラーゲンなどで作られたものです。天然ケーシングの多くは中国やオーストラリアからの輸入でまかなわれていますが、世界的に羊の飼育頭数が減少していること、中国国内での需要が増加していることもあり、年々価格が上がっているのだそうです。そこで利用されているのが人工ケーシング。歯ごたえでは天然に一歩譲るものの、コラーゲンで作られた皮は汎用性・均一性・衛生面などに優れていることもあり、色々なメーカーが使用しています。ちなみに、ソーセージの形を見れば天然・人工を見分けることが可能。天然は形が不ぞろいで自然な曲線を描き、人工はまっすぐ均一な形をしています。

【写真と美肌の影にコラーゲンあり?】

近年、フィルムメーカーが化粧品市場やサプリメント市場に進出していますが、これは全く不自然なことではありません。かつて写真撮影で使われていたフィルムの主成分は、実はコラーゲン。「写真乳剤」が開発された1871年からデジタルカメラが普及するまで、フィルムメーカーはずっとコラーゲンの研究を続けてきたのです。しかも、フィルムで使用されるものは食用のものよりずっと純度の高いコラーゲンが必要なのだとか。化粧品メーカーとは異なる独自の技術を優位性に、化粧品・サプリメント業界に参入したと言えるのです。畑違いの分野に見えるかもしれませんが、実はフィルムメーカーは長い研究に裏付けられた商品を展開しています。

効果の真偽は「??」。色々なコラーゲン製品。

現在、コラーゲンを使用した商品は多様な分野に広がっています。上記でご紹介した堅実な産業製品はもちろん、効果の有無が分からない製品やジョークグッズなどもたくさん誕生し続けています。ここでは、それらの一部をご紹介しましょう。ただし、効果の有無は保障できませんので、あらかじめご了承ください。

【コラーゲン加工を施した衣類や寝具!?】

タオルやハンカチ、マフラー、パジャマ、くつ下、毛布、まくら、ふとんなど、衣類・寝具には「コラーゲン加工」を目玉にした商品がたくさんあるようです。コラーゲンを繊維加工軟材として使用することでソフト感をアップさせ、肌触りの良い商品にしているのだとか。肌と繊維の摩擦が減るため、敏感肌・乾燥肌の人にも喜ばれているそうです。ただし、多くの製品が「保湿効果」を強調していますが、Web上にはそれらに疑問を感じている人もいる模様。「水分を保持する衣類・寝具では汗が乾かないのでは?」「繊維の湿度が高いと菌が繁殖するのでは?」という意見も…。

【家電製品にコラーゲン!?】

大手メーカーから発売されているドライヤーには、コラーゲンを噴射して髪をコーティングする製品があるそうです。これによりカラーリングの色落ちを防ぎ、紫外線から紙をガードし、頭皮をケアするのだとか。もちろん機械の中でコラーゲンを生成できるわけではないので、定期的にカートリッジを交換する必要があるようです。

【コラーゲン入り入浴剤で全身コーティング!?】

コラーゲンが配合されている入浴剤も色々なものが発売されているようです。皮膚表面にコラーゲンが塗布されることによって身体を温める時間が長く続き、肌水分の保湿効果が高まるのは間違いないでしょう。そのような観点では、「しっとり、すべすべ肌」への期待ができます。ただし、コラーゲンは塗布しても分子の大きさから皮膚に浸透することはありません。肌内部のコラーゲン量増加は期待できないため、シミ・シワ対策にはならないでしょう。

(まとめ)

コラーゲンの雑学はいかがでしたか?古代から利用されているコラーゲンですが、近年に至ってますます用途が広がっているようです。医療分野における研究も進められ、今後は再生医療向けバイオマテリアル(生体機能性材料)としての利用も更に進んでいくでしょう。また、他方ではコラーゲンを配合した大人のジョークグッズもあるのだとか。もちろん、食品などにも引き続き使用されていくことでしょう。現在のコラーゲン市場には、非常に有用な製品も、あまり効果が見込めない製品も、どちらも溢れています。消費者は、配合の有無だけでなく効果への期待を見極める目が求められているのかもしれません。